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教學大綱

學術俯瞰講座 2005年度冬學期「物質の科學 -その起源から応用まで-」

第1回:小柴昌俊「宇宙と素粒子 -物質はどのように創られたか-」

大きなスケールを追い続ける宇宙物理學と、逆に小さなスケールを追い求める素粒子物理學は、結局、同じ目的である“万物の究極理論”に迫りつつある。すでに自然界のすべての元素が何処でどのように創られたかも解っている。第1回の講義では全般的なこと、特に「ニュートリノ」と呼ばれる素粒子がどんな役割をはたしているのかについて解説する。

第2回:佐藤勝彦「物質の生い立ち -素粒子、原子、宇宙-」
サブタイトル:私たちは物質世界をどのように認識してきたか -物質の階層構造-

物質の生い立ちという観点から、素粒子から宇宙全體に至る物質の階層構造と運動法則、またその物質が運動する舞台としての時空、さらに物質と時空の起源、進化について解説する。物質世界を認識することで自らが何者であるかについてより深く知ることが出来ると考えられる。この講義では、原子核や素粒子についてその世界と生い立ちを解説し、正體不明の宇宙物質とされる暗黒物質・暗黒エネルギーについても触れる。

第3回:佐藤勝彦「物質の生い立ち -素粒子、原子、宇宙-」
サブタイトル:物質世界はどのように運動するのか -物理法則-

物理法則とは、世界を動かす絶對的原理として存在するのか、それとも自然世界を記述するために人間が作る暫定的な仮説に過ぎないのか。經験的に纏め上げられてきた物理法則についてのこのような疑問から出発し、現代物理の二大柱の一つである量子論に触れながら、物理法則の統一理論について解説していく。森羅万象をいかに簡単な法則で説明するかは物理學の真髄であり、物理學の歷 史は統一理論の歷 史ともいえる。物理法則はなぜ美しいのかという疑問にも進化心理や人間原理の観点から触れている。

第4回:佐藤勝彦「物質の生い立ち -素粒子、原子、宇宙-」
サブタイトル:時空 -物質の演舞の舞台-

この講義では主に特殊相對論および一般相對論を取り扱う。時間とは何か、空間とは何か。時空とは単に物質の演舞の舞台に過ぎないわけではなく、物質の演舞のパートナーであり、伸び縮みやねじれもすれば破れもする性質をもつ存在だということを解説する。この世界を知り自らの位置を認識するためにも時空が何であるかを知ることが必要である。相對論は、現在量子論と比較すると実用面では寄与が少ないが、将来的には多くの技術に必要とされる分野である。

第5回:佐藤勝彦「物質の生い立ち -素粒子、原子、宇宙-」
サブタイトル:宇宙の創生、進化 -統一的自然観をめざして-

宇宙の構成や生い立ちについて、またそれらの概念がどのように作られてきたかについて解説する。現代常識となっている膨張宇宙の発見までの經過を示し、ビッグバン宇宙論からインフレーション理論といった宇宙創生の解明理論について触れていく。また、宇宙を構成する主要な物質である正體不明の暗黒物質・暗黒エネルギーについても解説する。

第6回:家泰弘「物質の性質」
サブタイトル:物性物理學とは何をする學問か

物質の性質という観点から、さまざまな物質がさまざまな物理状態のもとで示す諸性質と、その基礎にある物理メカニズムとの関連を解説する。はじめに、物性物理學とはどのような學問か、事例を挙げながら解説する。まずは、携帯電話や先端醫療、宇宙研究など、現代文明においてどのように物理學が応用されているかを確認する。そののちに、物性物理學の正確な定義を確認し、量子力學と原子構造、物質の存在形態、原子の凝集機構と結晶構造などに話を広げていく。

第7回:家泰弘「物質の性質」
サブタイトル:量子力學と人工構造物質-ハイテクと先端物理

量子力學とそれにまつわる諸現象について解説する。量子力學とはミクロの世界のふるまいを記述する理論體系であり、それにはいくつかの特有の現象がある。ここでは、そのひとつである量子干渉について説明した後で、人工物質とメゾスコピック系、量子伝導現象などについても解説していく。

第8回:家泰弘「物質の性質」
サブタイトル:原子を操る,量子を操る-ナノサイエンスと量子情報

量子現象の直接観測にスポットを当てて解説する。まずは、原子を見るための顕微鏡であるSTMとAFMを紹介する。次に、巨視的量子現象の中で最も注目されているボース・アインシュタイン凝縮について、液體ヘリウムの超流動現象とのつながりを踏まえて解説する。その後、量子力學における測定方法をいくつか解説する。また、通信における暗号化についても例を交えて紹介し、公開鍵暗号方式の仕組みを解説する。

第9回:家泰弘「物質の性質」
サブタイトル:多様な物質,多様な物性

今回の講義では様々な物質の持つ諸性質について解説する。まずは固體の中での電子の状態について、取り得るエネルギーと波數との関係を示したバンド構造を中心に解説する。次に、金属・絶縁體・半導體について、金属から絶縁體への転移が起こる過程を詳しく見ていく。その後、磁性に着目し、原子の磁気モーメントについて考え様々な磁性を紹介する。最後に、超伝導について、超伝導の基本的な性質や機構を解説する。

第10回:小宮山宏「物質を作り利用する」
サブタイトル:物質製造プロセス 主な例:金属(鉄鋼)

物質の持つ性質は、それ自身簡単に使えるものではない。特に実際の用途に供するためには実験室内と異なる物質生成のプロセスが必要である。自己組織化などを用いるプロセスを紹介し、物性・プロセス・応用を考える。製造プロセスとは、無限の可能性のある現象の中から、一定範囲の現象を進行させることによって、無限の可能性のある構造の中から一定範囲の構造を実現することである。それは、物質・構造・速度・条件の四要素から成る。本講義では、特に鉄鋼を具體例として挙げて、製鉄のプロセスやその機能、応用例などを解説していく。

第11回:小宮山宏「物質を作り利用する」
サブタイトル:複合化(デバイス)主な例:半導體、無機材料

前回に引き続き物質の製造プロセスを見ていくが、今回は半導體デバイス、光ファイバーなどに着目する。トランジスタの発明に始まり、GSI(Giga-scale Integration)にいたる技術の変遷を確認しつつ、最後に光と電子・量子デバイスなどの未来技術の実験例について紹介する。

第12回:小宮山宏「物質を作り利用する」
サブタイトル:ソフトマター 主な例:半導體、液晶

液晶ディスプレー、カラーフィルムなどに利用されている、ソフトマターについて解説する。まずは、構成単位が分子であることなどの基本的な特徴を踏まえた上で、ソフトマターの長所・短所などを解説する。その後、汎用プラスティック、高性能プラスティック・汎用フィルム・繊維などの構造材、液晶・半導體=導電性プラスティックなどの機能財に応用されている例を紹介する。

第13回:小宮山宏「物質を作り利用する」
サブタイトル:地球持続の物質(デバイスシステム)主な例:燃料電池、マイクロ化學チップ

燃料電池、マイクロ化學チップなどの具體例を解説しつつ、21世紀において科學技術が果たすべき役割について考えていく。まずは燃料電池について原理や効率を解説した後、現在の自動車のエネルギー効率を例に出しながら燃料電池が将来的に期待されていることを紹介する。次に、マイクロ化學チップの特徴を解説し、それが実際にどのように利用されているかや、今後の可能性を考えていく。最後に、21世紀に科學技術が目指すべき方向性を提言する。

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