2006年度夏學期講義 「社會の形成 -人間はいかに共生してきたか-」
現代社會は、国際化、情報化、少子高齢化など複雑な課題に直面しています。今後平和で豊かな社會を形成していくためには、こうした課題に取り組み解決していかなくてはなりません。
政治、經濟、社會、歷
史などを對象とする社會科學は、複雑な社會現象を解明し、課題を解決するための知識を蓄積してきました。そして、今日の先端的研究は、社會における人間の行動や心理のメカニズムに関する多くの理論を生み出してきました。しかし、他方で、學問領域が細分化し、私たちが直面している現象をトータルに理解することが難しくなっていることは否めません。
各學問領域の研究が、現実の社會現象を理解し、課題を解決する上でどのように役立つのか。そもそもそれぞれの學問が社會現象をどのように捉え、解明しようとしているのか。またこれまで社會における人間がどのように捉えられ、どのような理念に基づいて社會が形成されてきたのか。
こうした各學問領域の最先端の知識と現実の社會との結びつきを、これから多様な學問領域においてより高度な知識を學ぼうとしている學生諸君に對し、人類がいかに社會を形成し共生してきたかに焦点を当てて、わかりやすく解説するのがこの講義の目的です。
1).「権力と自由の生態について」
佐々木 毅(東京大學前總長)
【概要】 政治現象を理解する上で欠かせないのが権力の理解である。権力現象は複雑多岐にわたるが、それは人間の自由の現われと表裏一體の関係にある。政治権力の誕生はその中の着目すべき独特の現象であることを念頭に、その生態の現代にまで及ぶ基本的特性を把握するのがこの講義の目標である。
2).「經濟を軸にみるアジア世界 歷
史と現状」
原 洋之介(前東京大學東洋文化研究所長 教授)
【概要】? アジアには多様な生態系をもった地域があり、古い時代からその間を繋ぐ交易活動が盛んであり続けている。この講義では、商品の交易という視点からアジアの歷
史と現状を大きく俯瞰することを通じて、經濟社會の多様な成り立ちと、それらの共存の条件を探っていく。
3).「世界システムという社會?」
田中 明彦(東京大學東洋文化研究所長 教授)
【概要】 国境や民族の境を超える人々の相互作用は、「社會」を形作るのだろうか。そのような「大きなシステム」にはどのような特徴があると考えられてきただろうか。一般的に政府が存在しないとき、人々はどうやって共生するのだろうか。21世紀の世界は、これまでの世界と比べて、何が変化してきたのか。現在の東アジアの動向を、どのように理解したらよいか。人文社會科學のさまざまなアプローチを検討しつつ、これらの問題を考えてみたい。
4).「社會の形成と社會科學」
森田 朗(東京大學大學院公共政策學連携研究部長 教授)
【概要】 3人の先生方による12回の講義を總括して、社會現象を異なる學問的切り口から見た像を合成し、立體的な全體像を示すことを試みる。そして、社會科學の概念や理論というツールを用いて、現実の課題をどのように分析・理解し、解答をみいだすべきか、その可能性と學問的考察の魅力について論じる。
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