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教學大綱

平成16年度醫學科:基礎系:病理學講座

1. 科目全體の要約

  1. 授業科目名:病理學(總論)
  2. 對象學生:M1年
  3. 担当責任教官名:宮園浩平(分子病理學講座、内線23345、miyazono-ind@umin.ac.jp)
  4. 授業の目標・レベル:
    1. 人體病理學と分子病理學に関する基本的知識・思考を身につける。
    2. 病理學總論では病変の生じるプロセス、病気の定義・病因などを基本的なレベルから高度なサイエンスのレベルまで學習する。
    3. 前半の講義は主として基本的な病理學總論を學び、後半では「がん」を中心に講義を行う。
    4. 病理學總論の講義の後に実習として症例の提示を行い、初日の午後と2日目でアポトーシスの実習を行なう。
  5. 授業の概要:「3.授業内容の概要」を参照のこと。
  6. 學習の方法:これまで解剖學を初めとして生體の正常な構造と機能に関する授業が組まれていたが、病理學の授業には基礎から臨床醫學への橋渡しの役割があり、構造と機能の異常、すなわち疾患(病気)を中心に講義が組まれている。M1の病理總論からいきなり幅広い基礎醫學の知識と理解力が要求される。病理學の授業ではいつも疾患の概念・定義を理論的にしっかり習得することが大切である。

2. 授業計画

病理學總論の授業計画は左の“スケジュール”をご覧ください。
M1病理學總論講義:後期授業(平成17年1月)
講義は一人の講師が1、2限を続けて行う場合と、二人の講師で分担して行う場合があるので注意。

<平成16年度 M1 病理總論講義及び実習の日程表>

  • 講義 本館小講堂
    1・2限( 9:00-12:10)
  • 実習 本館小講堂・実習室
    1・2限( 9:00-12:10)(午前)
    3・4限(13:20-16:00)(午後)

3. 授業内容の概要

M1で行う病理總論(◆印)について、各授業を担当する教官がまとめた授業内容の概要です。

<1. M1病理學總論講義の概要>

M1の後期、1月に行う。病理學總論講義においては、病気(疾患)の概念を原因論から出発して系統的に説明する。細胞レベル、組織レベル、臓器レベル、そして全身性の疾患という具合に理解してほしい。さらに後半の腫瘍論においては遺伝子レベルの講義を行う。解剖學、生化學・分子生物學、免疫學、細菌學などの基礎知識が幅広く身についていないと病理學の講義を理解するのは難しい。

◆【序論-病理學について】 深山正久/平成17年1月17日(月)9:00-12:10

  1. 病理學とはどんな學問か:
    1. 病気の発見と病気の博物館
    2. 近代病理學、現代病理學と日本の病理學
    3. 剖検病理學と病理診断學
    4. 形から見た疾患像
  2. 生體のシステムと病気
  3. 生命現象と病理學:
    1. 寿命
    2. 老化

◆【細胞変性・壊死】 深山正久/平成17年1月18日(火)9:00-10:30

細胞・組織の病理學-形から病気へ

  1. 細胞障害:
    1. 急性細胞障害
    2. アポトーシス
    3. 慢性細胞障害
  2. 細胞小器官の病理:
    1. ライソゾーム病
    2. ペルオキシソーム病
    3. ミトコンドリアの異常
    4. デスモゾームなど
  3. 組織としての反応:
    1. 変性
    2. 壊死
    3. 萎縮
    4. 肥大
    5. 増生・過形成
    6. 再生
    7. 化生
    8. 創傷治癒

◆【代謝障害・アミロイドーシス】 大橋健一/平成17年1月18日(火)10:40-12:10

  1. アミロイドーシス―分類、発症機序、病理學的特徴
  2. 脂質代謝障害―脂肪肝
  3. 黄疸―発症機序、分類
  4. 色素沈着症―メラニン代謝異常、ヘモジデローシス、ヘモクロマトーシス

◆【損傷修復・再生】 宮澤恵二/平成17年1月19日(水)9:00-10:30

  1. 細胞増殖の調節
    1. 細胞増殖因子
    2. 細胞外マトリックス
  2. 損傷の修復機構
    1. 皮膚の構造と機能
    2. 皮膚損傷の修復
    3. 治療薬としての細胞増殖因子
  3. 治療薬としての細胞増殖因子
    1. 皮膚疾患
    2. 血管新生療法

◆【分子病理學序論】 宮園浩平/平成17年1月19日(水)10:40-12:10

  1. 分子病理學について
  2. 細胞表面レセプターを介したシグナル伝達
  3. 分子病理學の基本知識 細胞の増殖、分化、老化、死
  4. 細胞周期
  5. 幹細胞の分化

◆【循環障害】 仁木利郎/平成17年1月20日(木)9:00-10:30

  1. 血液・體液の分布異常
    1. 浮腫、水腫
    2. 充血、うっ血
    3. 出血
  2. 血管閉塞に関連する障害
    1. 血栓症
    2. 塞栓症
    3. 梗塞
  3. 末梢の微小循環に関連する障害
    1. 播種性血管内凝固(DIC)
    2. ショック

◆【動脈硬化症・糖尿病】 大橋健一/平成17年1月20日(木)10:40-12:10

  1. 播動脈硬化症:発症機序、血管壁における変化、全身臓器における病理學的変化
  2. 糖尿病:発症機序、分類、全身臓器における病理學的変化

◆【炎症】 加藤光保/平成17年1月21日(金)9:00-12:10

  1. 炎症の定義・起炎因子
  2. 急性炎症の過程
  3. 炎症細胞
  4. 炎症の化學伝達物質:
    1. 感染病原體の認識と起炎
    2. 血管反応の化學伝達物質
    3. 炎症細胞の接着と遊走
  5. 組織の傷害と吸収
  6. 炎症の終焉と修復反応
  7. 炎症反応の慢性化
  8. 炎症の形態學的分類

◆【感染症】 加藤光保/平成17年1月24日(月)9:00-10:30

  1. 感染症の現状
  2. 感染症予防法
  3. 新興感染症、再興感染症、輸入感染症
  4. 常在細菌叢
  5. 病原微生物
  6. 病原性と毒性
  7. 感染と発病
  8. 感染經路と體内散布
  9. 感染に對する宿主抵抗性
  10. 感染症の病理診断

◆【免疫】 宮園浩平/平成17年1月24日(月)10:40-12:10

  1. 自己免疫病の臓器特異性スペクトラム
  2. SLEの多臓器障害とその発症頻度
  3. 全身性硬化症に見られる症状
  4. 関節リウマチの諸症状と診断基準
  5. 関節リウマチの発症機構
  6. サイトカインのアンバランスとTNF-αの果たす役割
  7. TNF-αとRANKLによる破骨細胞の分化と活性化

◆【病因論】 深山正久/平成17年1月25日(火)9:00-12:10

  1. 環境因子と疾患:
    1. 放射線障害
    2. 脚気
    3. 喫煙
    4. 産業
  2. 遺伝病と発症機序、染色體異常
  3. 奇形:
    1. 奇形の分類
    2. 奇形の成因

◆【腫瘍病理形態學】 深山正久/平成17年1月26日(水)9:00-12:10

  1. 腫瘍病理學入門:
    1. 腫瘍病理學の基本的用語
    2. 癌の広がり
    3. 腫瘍の形
    4. 癌の自然史と臨床
    5. 腫瘍と宿主の関係
  2. 日本人の癌:
    1. 日本人の癌の特徴
    2. がん對策
  3. 腫瘍診断における病理醫の役割:
    1. 境界病変
    2. 迅速診断
  4. 診断病理學の展開:分子病理の診断への応用

◆【癌と間質について】 仁木利郎/平成17年1月27日(木)9:00-10:30

腫瘍組織には、線維芽細胞、内皮細胞、炎症細胞など様々な間質細胞と細胞外基質が介在している。これら間質の重要性を示唆する現象は従来より指摘されていたが、その背景にある物質的基盤については長い間不明であった。しかし1990年代より癌・間質相互作用の背景にある物質群の解明が進み、それとともに癌細胞の生物學の中で癌・間質相互作用の重要性が再認識されつつある。講義では、間質細胞の中から特に線維芽細胞に焦点をあて、間質の重要性を示唆する現象・観察事実について總論的な解説を行うとともに、最近注目されている「微小環境」の概念についても触れてみたい。

  1. 組織形態的観察事実について
  2. 実験的観察事実について
  3. 物質レベルでみた癌・間質相互作用
  4. 産生細胞と標的の観点から見た癌・間質相互作用
  5. 癌・間質相互作用に関連した概念
    癌と炎症・創傷治癒
    微小環境
  6. 考察と今後の展望

◆【がんの疫學・発がん】 宮園浩平/平成17年1月27日(木)10:40-12:10

  1. 良性腫瘍と悪性腫瘍
  2. 悪性新生物による死亡率の推移
  3. 喫煙と発がん
  4. 肝炎ウイルス
  5. ウイルスと発がん: HTLV1によるATL発症のメカニズム
  6. Helicobacter pylori菌の作用

◆【がん遺伝子(1)】 宮園浩平/平成17年1月28日(金)9:00-10:30

  1. 癌発生を規定する6つの要因
  2. 増殖因子の作用とがん遺伝子
  3. 代表的ながん遺伝子とヒト腫瘍
  4. チロシンキナーゼ型レセプターに起こる発がん性変異
  5. 多発性内分泌腺腫症(Multiple endocrine neoplasia)
  6. テロメア、テロメラーゼとがん

◆【がん遺伝子(2)】 宮園浩平/平成17年1月28日(金)10:40-12:10

  1. 造血幹細胞の分化と造血因子
  2. がん遺伝子による発癌の3つのパターン
  3. 急性骨髄性白血病と染色體転座
  4. 慢性骨髄性白血病の病態
  5. Bcr-AblによるAbl遺伝子の活性化機構
  6. グリベックによるBcr-Ablの抑制

◆【がん抑制遺伝子(1)】 宮園浩平/平成17年1月31日(月)9:00-10:30

  1. 網膜芽細胞腫の発症メカニズム:細胞周期のチェックポイントにおけるpRBの役割
  2. ヒトp53の機能とがん
  3. Wntシグナル:β-カテニンとAPCの大腸癌発生における役割
  4. von Hippel-Lindau症候群:ユビキチン化によるタンパク質分解反応
  5. Fas-FasLによるアポトーシスのメカニズム

◆【がん抑制遺伝子(2)】 宮園浩平/平成17年1月31日(月)10:40-12:10

  1. TGF-βのSmadによるシグナル伝達と細胞の癌化
  2. ミスマッチ塩基對修復反応とHNPCC
  3. 腺腫-癌連鎖の形態學的・分子生物學的変化
  4. 核内受容體によるホルモン依存的遺伝子活性化
  5. 腫瘍免疫の分子メカニズム

◆【がんの生物學】 宮園浩平/平成17年2月1日(火)9:00-10:30

  1. 血管新生によるがんの増殖
  2. VEGFによる血管新生とリンパ管新生
  3. 転移のカスケード
  4. 腫瘍随伴症候群

◆【がん転移】 広橋説雄/平成17年2月1日(火)10:40-12:10

細胞接着の異常とがんの浸潤・転移

  1. がんの形態と細胞接着の異常
  2. 細胞接着分子カドヘリン
  3. カドヘリン不活化の機構
  4. 浸潤・転移との関連
  5. 細胞接着と増殖調節との関連

◆【ヒト腫瘍ウイルス】 深山正久/平成17年2月2日(水)9:00-10:30

ヒト腫瘍ウイルスについて學ぶ。各ウイルスの特徴、感染様式、発癌機構、疫學、予防と治療など。

  1. HPV:子宮頸癌
  2. EBV:リンパ腫、上咽頭癌、胃癌
  3. HTLV-1:成人T細胞性白血病
  4. HBV、HCV:肝炎、肝硬変、肝細胞癌

◆【がんの分子診断】 油谷浩幸/平成17年2月2日(水)10:40-12:10

がんは遺伝子病であり、従来の病理學的診断の分子生物學的背景を理解するために、癌細胞に生じているDNAあるいはRNAレベルの分子変異を網羅的に解析する手法について概説する。

  1. ゲノム解析
    1. LOH(Loss of Heterozygosity)解析
    2. CGH(Comparative Genomic Hybridization)解析
    3. メチル化解析
  2. マイクロアレイ解析
  3. アレイ解析の原理
  4. アレイ解析の実際

<M1病理學總論実習>

◆【【症例呈示】 遠藤久子/平成17年2月3日(木)9:00-12:10

典型的剖検症例の病的臓器の肉眼所見を観察、學習する。6人一組になり、剖検症例を2例ずつ、手で触れ観察(剖検例であることを意識し、丁寧に扱うこと)、質問項目に記入を行う。剖検例の數に制限があるため、順番に実習室に入室、制限時間内に観察を終えること(残念なことに待ち時間が発生する)。最後に小講堂で解説を行う。

◆【アポトーシス実習】 宮澤恵二/平成17年2月3日(木)13:20-16:00、4日(金)9:00-12:10および13:20-16:00

小講堂に集合し、実験の概要について説明を受ける。ついで実習室に移動して実験を開始する。実験は3人一組でおこなう。
細胞死は形態學的にアポトーシスとネクローシスに分類される。本実習では、アポトーシスを起こした細胞に特徴的な形態學的変化のうち、核の凝縮、細胞の縮小、アポトーシス小體の形成などの比較的マクロなレベルでの変化を光學顕微鏡を用いて観察する。また、アポトーシスの生化學的判定法として、DNAのヌクレオソーム単位での断片化を観察する。

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